ピアノ講師を仕事にしてみようというきっかけは様々ですが、よくあるのが
- 音大に通っていて学生をしているがピアノに関する仕事をしてみたい
- 一般企業に就職したがピアノ講師に転職したい
- 子育てが落ち着いたのでピアノ講師をしてみたい
このような方が多いと思います。
ピアノ講師として働くには一般的には2つの方法があります。
①音楽教室に所属して業務委託として働く
②自宅でピアノ教室を開講する
①と②を組み合わせて働いている先生も多いですね。
ピアノを教える仕事をするならどっちの働き方がいいんだろうと悩まれる方もいると思いますので、今回の記事では自分に合っている働き方を見つける手助けができたらいいなと思います。
先に結論を言いますと
新人のうちや指導方針が固まるまでは、音楽教室に所属するのがベスト。
仕事に慣れてきて自分の指導方針が固まってきたら自宅で開業するのが良い。
私はこのように思います。
それでは、その理由等を細かく書いていきますね。
音楽教室に所属と個人教室運営どちらが良い?
音楽教室に所属のメリット
生徒の募集を会社がしてくれる
教室に所属するメリットの一番は生徒の募集を会社がしてくれることです。
生徒を募集する方法は色々ありますが、ホームページ作成・新聞折込・チラシ投函・インターネット広告費用などなど・・どれも個人でやろうとするとかなり大変です。
時間と手間もかかりますし、お金もかかります。それを会社がやってくれるというのはかなりのメリットですね。
事務員や受付スタッフがいる
こちらもかなりのメリットだと私は感じています。
音楽教室の場合は、講師の仕事は主に生徒にピアノを教えることのみです。(例外の教室もありますが)
体験レッスンの申し込み・入会申し込み・退会手続き・教室の説明や生徒からの質問・生徒からのクレーム対応・・などなど教室を運営するには教えること以外にもたくさんの事務作業がありますが、これらを全て受付スタッフがやってくれるのもメリットですよね。
人気の教室だと受付の電話が常に鳴っているので、スタッフの存在は本当に有難いなと感じます。
防犯面が比較的安心できる
音楽教室には様々な講師や事務員がいるので、防犯面でも比較的安心です。
体験レッスン申し込みが来た時も、「なんだかこの人怪しいな・・?」と思う人は事務が上手く入会等を断ってくれます。
悲しいですが、ピアノを習おうとする全ての人が善人ではありません。
若い先生とあわよくば・・と下心がある方も実際にいらっしゃいます。
私も経験したことがありますが、大人の成人男性からデートに誘われたこともありますし、駐車場で待ち伏せされそうになったこともあります。
ピアノの部屋は防音室で密室になるので、事務の人が目を光らせてくれることもありました。
そういう時に受付スタッフがいると本当に安心です。
発表会やイベントを会社が用意してくれる
こちらも大きなメリットだと思います。
音楽教室だと地元では比較的大きなホールで発表会ができたり、様々なイベントを用意してくれて生徒のモチベーションアップにも繋がります。
発表会やイベントでは他の先生の生徒の演奏も見れるので、講師も生徒も良い刺激になります。
横の繋がりが出来るのも嬉しいですよね。
辞める時に引き継ぎが見つかりやすい
産休などで講師業を休止する場合や辞めないといけなくなった時、音楽教室の方が引き継ぎが見つかりやすく辞めやすいです。
他の講師陣に生徒を振り分けることもできますし、新しい講師も入ってきやすいです。
音楽教室に所属のデメリット
収入(給料)が安いところが多い
教室に所属する最大のデメリットだと思います。
自宅開業する先生が多いのは、収入面の理由がほとんどですね。
もちろんその会社にもよりますが、音楽教室に取られるマージンはすごく多いです。
給料は、月謝の3割というところもザラにありますね。(例:月謝が6000円の場合、生徒1人あたり1800円ほどしかもらえない)
良心的な所だと5割〜6割ぐらいでしょうか。7割以上もらえるところは少ないように感じます。
ヤマハなど大手音楽教室では、グレード(自分が持っているグレード試験の級)によってもらえる割合がかなり変わってきたりしますね。
高いお金を出して音大に行ったのにこんなに給料が安いなんて・・と嘆きたくなる所が多いのも現実です。
会社の方針があるので自由度が少ない場合もある
これは本当に各音楽教室によって違いますが、会社の方針というのがどこにでもあります。
- 趣味で楽しく音楽を続けていけるように、とにかく楽しくレッスンをしてほしい
- 会社として功績も残したいので生徒にはコンクールにも積極的に出してほしい
このように方針がある場合もあります。
会社の方針はホームページや広告で必ず書いてあるので、そのニーズに合った生徒が入会してきます。
自分のやりたいレッスンというのが会社の方針と違う場合、我慢しなくてはいけない所が出てきます。
また会社によっては使う教材(テキスト)が決められている場合もあるので、その辺りは面接時に必ず確認した方が良いですね。
自宅開業のメリット
生徒の人数が集まればかなり稼げる
自宅で開業する一番のメリットは収入面だと思います。
音楽教室ではかなりの割合を持っていかれてしまいますが、自宅開業の場合は生徒の月謝=給料です。(もちろん経費があるので全額とはいきませんが)
月謝設定も自由に設定出来ますし、人数が集まればかなり稼げます。
レッスン内容も環境も全て自由
レッスンのやり方もその環境も全て自由なので、本当に好きなように働くことが出来ます。
自分の使いやすい教材も使えますし、個人レッスンだけではなくリトミックをやったり、グループレッスンをしたり、追加レッスンを自由に組めたり・・色々なことに融通が効くので働きやすいですよね。
自分の指導方針に合った生徒を集められる
これは長くピアノ講師を健康的に続けていく為にとても重要な事だと思っています。
具体例を出しますと、
- 練習を強要するようなことはせず、とにかく楽しくレッスンに来てくれれば良い
- 音大やコンクールを目指すのではなく、ピアノの楽しさを分かってもらえれば良い
このように
【とにかく趣味で楽しく続けているアットホームなピアノ教室】
を作りたい場合は、月謝設定は少し安めにして宣伝の仕方も「とにかく楽しくレッスンに来たい人向け」になっていきます。
そうなると最初からそのような指導方針を求めている生徒(保護者)が入会してきます。
- やるからにはしっかり教えたいので、生徒も練習をしっかりしてきてほしい
- コンクールにも積極的に出てほしい
- 音大受験を目指せるぐらいの子を育てていきたい
このように
【自分もしっかり教えるから生徒もそれに応えてほしい】
このような教室の場合は、月謝設定を少し高めにした方がいいですし、宣伝の仕方も変わってきますね。その方がやる気のある生徒(保護者)が集まってきます。
【自分もしっかり教えるから生徒もそれに応えてほしい教室の場合】、練習がちゃんと出来なくても楽しくピアノを弾いて楽しくレッスンに通ってくれればいいという方が来た時に、自分の指導熱意と生徒の価値観が合わずストレスになっていきます。
逆に、【とにかく趣味で楽しく続けているアットホームなピアノ教室】
を目指している場合、生徒から「コンクールに出たい!」「もっとスパルタにしてほしい!」など要求が合った場合もストレスになりやすいです。
ピアノの先生は根が真面目で素直な方が多いので、「せっかく私の所に習いに来てくれてるのだから、なんとか要望に応えてあげたい」と思い自分のストレスに気づかずに身体を壊してしまう先生もたくさんいます。
なので、自分の指導方針に合った生徒を募集することがとても大事ですね。
自宅開業のデメリット
生徒が集まるまでに最初は時間がかかる
音楽教室に比べて、個人の教室は最初は生徒が集まるのに時間がかかります。
やはり今の時代、人様の自宅にピンポンするのは少し勇気が入りますよね。
音楽教室は事務とのやりとりですが、個人教室は先生との直接的なやりとりになりますから、体験レッスンを申し込むだけでもかなり慎重になると思います。
生徒がたくさん増えてきてのってくれば、口コミも広がって生徒も集まりやすいですが、最初を乗り越える金銭面の蓄えは必要です。
防犯面が不安
家の中に生徒が入ってくるので、防犯面が不安になります。
セキュリティーをしっかりとして、いかに安全にレッスンをするかをしっかりと考えなくてはいけません。
女性講師の場合は、大人の男性のレッスンは断るなどしても良いかと思います。
ご近所さんとのお付き合いに慎重になる
自宅開業の場合、様々なことでご近所さんにご迷惑がかからないように配慮が必要になります。
レッスン中の音に対する防音面はもちろん、生徒が教室に出入りする際もうるさくならないように注意しなくてはいけません。
ご近所トラブルにならないように、普段の生活面でも気が抜けないです。
音楽教室所属と自宅教室開業、自分に合ったのはどちらか?
「とにかく稼ぎたい!」人は自宅教室
音楽一本で食べていきたい・収入はしっかりとほしいと言う方は間違いなく自宅教室開業がいいでしょう。
全てを自分でやらなければいけない覚悟も要りますが、収入面も教室の方針の決め方も夢がいっぱいありますよ!
自分の指導にビジョンがある方も自宅教室
自分の指導理念がしっかりとある方も、自宅教室開業をオススメします。
音楽教室に所属していると必ず折り合いをつけないといけない所が出てくるので、やりたいことがある先生は絶対に自分の教室を持った方が良いですよ!
お小遣い程度稼げれば良い人は音楽教室
扶養内で働いている人やお小遣い程度稼げれば良いと言う人は音楽教室所属がオススメです。
事務作業は基本的には全てやってもらえますし、発表会の準備の手間もかかりません。
宣伝も会社がしてくれるので、「生徒が来たらレッスンをする」と言うシンプルな働き方が出来ます。
防犯面・防音面・近所付き合いが不安な人は音楽教室
自宅でやるには防犯面や防音問題も心配だと言う人は音楽教室に所属するのが良いですね。ご近所問題にも不安を感じる方も同じです。
実際に自宅で開業してから様々なトラブルを対処していくのは大変なので、(ご近所トラブルの場合は信頼を取り戻すのにも時間がかかる)何か不安を感じる方は音楽教室に所属して働く方が安心だと思います。